中小M&Aガイドラインとは?~中小企業の事業承継を成功に導く指針をわかりやすく解説~

中小M&Aガイドラインとは?

近年、中小企業における事業承継や経営戦略の一環として、M&A(企業の合併・買収)が注目を集めています。その中でも「中小M&Aガイドライン」は、中小企業がM&Aを行う際に役立つ重要な指針です。本記事では、中小M&Aガイドラインの概要や活用方法について詳しく解説します。

1. 中小M&Aガイドラインとは?

中小M&Aガイドラインとは、経済産業省が策定した中小企業向けのM&Aの指針であり、特に事業承継や企業再生を目的としたM&Aを進める際に、透明性や公正性を確保するためのガイドラインです。主に中小企業が安全かつ成功率の高いM&Aを実施できるよう、後継者不在の中小企業とM&Aの支援機関を対象とした内容で構成されており、以下の3つの基本的な原則を掲げています。

  • 透明性の確保
    M&Aプロセスにおいて、双方が誠実に情報開示を行い、透明性を確保することが強調されています。これにより、取引における信頼性が高まります。
  • 公正な取引の促進
    中小企業のM&Aでは、特に仲介者やアドバイザーの役割が大きくなります。公正な取引を確保するために、仲介者は適切な利益相反管理を行い、双方の利益を守ることが求められます。
  • 買い手と売り手のバランス
    M&Aは売り手と買い手の双方の利益を考慮した形で進められるべきです。中小M&Aガイドラインでは、どちらか一方が有利となるM&Aではなく、双方がウィンウィンの結果を得られるようにすることが重要視されています。

2. 中小M&Aガイドラインの背景

日本では、多くの中小企業が経営者の高齢化や後継者不在といった問題に直面しています。これに伴い、事業を承継する手段としてM&Aが有効な選択肢となりつつあります。しかし、M&Aには複雑な法的・経済的要素が絡むため、トラブルが発生しやすい状況となっています。

そのため、経済産業省は「中小M&Aガイドライン」を策定し、適正なM&A取引が行われるように指導しています。このガイドラインは、中小企業が不安なくM&Aを活用できるようにし、事業の円滑な承継や成長をサポートするものです。

3. 中小M&Aガイドラインのポイント

1. M&A仲介者の役割

中小M&Aでは、仲介者(M&A仲介会社、金融機関、士業専門家等)やM&Aアドバイザーが取引の重要な部分を担います。しかし、利益相反のリスクが高いことから、仲介者はどちらか一方の利益だけを優先しないようにガイドラインでは強調されています。M&A支援機関に依頼してM&Aに取り組もうと考えている経営者様は特に、以下の点を網羅しているM&A支援機関を選ぶことが大切なポイントとなります。

  • 適切な利益相反管理
    仲介者が両者に公平に関わり、利益を不当に偏らせないことが求められます。具体的には以下のような行為をしないことが求められています。

① 買い手から追加で手数料を取得し、買い手に便宜を図る行為(売り手のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価格への誘導等)

② リピーターとなる買い手を優遇し、買い手に便宜を図る行為(売り手のニーズに反したマッチングの優先的実施又は不当に低額な譲渡価格への誘導等)

③ 買い手の希望した譲渡価格よりも低額でM&Aが成立した場合、買い手に対し、正規の手数料とは別に、希望した譲渡価格と成立した譲渡価格の差分の一定割合を報酬として要求する行為

④ 売り手または買い手より伝達を求められた事項をもう一方の相手方に対して伝達しない行為、もしくは、売り手または買い手が実際には告げていない事項を偽ってもう一方の相手方に対して伝達する行為

⑤ 売り手にとってのみ有利又は不利な情報を認識した場合に、当該情報を売り手に対して伝達せず、秘匿する行為(買い手に対しても同じ)

  • 透明なフィー体系の設定
    仲介者の報酬体系が不透明だとトラブルの元になります。ガイドラインでは、報酬が適正であることを確認することが推奨されています。そのため仲介者は、売り手・買い手双方に対して、もう一方の相手方から受領する手数料を公開することを求めています。売り手には買い手から受領する手数料を開示し、買い手には売り手から受領する手数料を開示するというものです。これは仲介者の利益相反を防止する観点から盛り込まれた内容です。
  • セカンドオピニオンの推奨
    M&A仲介会社、金融機関といった仲介者の中には、他のM&A仲介会社や金融機関との契約を認めない「専任契約」という制約が存在します。中小M&Aガイドラインでは、M&Aの透明性・公平性を高めるために、仲介者に「非専任」を推奨しています。M&Aの支援をM&A仲介会社や金融機関、士業専門家等に依頼する際は、できる限り「非専任OK」の支援機関を選択することをお勧めします。
  • 不適切な事業者の排除
    昨今、悪質な買い手の存在によるM&Aトラブルが多発しています。具体的にはM&A後に売り手の個人保証(連帯保証)を解除しない、譲渡金額を支払わない等の悪質な内容です。中小M&Aガイドラインでは、仲介者に、売り手に紹介する買い手を事前に調査することを求めています。具体的には以下の内容を調査します。
●財務状況に関する調査
調査方法 買い手側の財務諸表の確認
調査内容 債務超過・赤字でないか、現預金の額等、M&Aを実施できる財務状況にあるか調査する。
●コンプライアンスに関する調査
調査対象 買い手側、買い手側経営者の他、役員、主要株主、関連会社
調査方法 Web上における不芳情報検索、社内のDB、業界内での情報共有の仕組みの確認、その他外部のDB・調査会社を活用した調査
調査内容 反社会的勢力への該当性やM&Aに関するトラブルの有無等について調査する。
●事業実態に関する調査
調査方法 商業登記簿の確認、web地図閲覧による確認、事業所の訪問
調査内容 事業実態があるか、買い手側の依頼者が代表者又は役員として登記されているか(M&Aについての契約締結権限を有する者であるか)等について調査する。
●最終契約の実行可能性の調査
調査方法 財務諸表や預金通帳、融資証明書等の確認
調査内容 最終契約に記載する条件(譲渡価格の支払等)に関し、預貯金の額や借入を予定している場合には金融機関との調整状況の確認により最終契約を実行できる状況にあるかを調査する。
●その他調査
調査方法 買い手側へのヒアリング、過去の依頼者である売り手側からの買い手側に係るクレームの有無や業界内での情報共有の仕組みにおける買い手側に係る情報の有無の確認
調査内容 M&Aに取り組む背景、過去に実施したM&Aについて、売り手側との間でトラブルに発展していないか(例えば最終契約の不履行等)等について調査する。

 

2. M&Aプロセスの透明性

ガイドラインでは、M&A取引の透明性が取引成功の鍵であるとされています。双方がM&Aの流れを把握した上で進捗やリスク、条件を正確に把握し、納得のいく取引を行わなければなりません。具体的には、次の点に注意が必要です。

  • M&Aのプロセスを把握する
    中小M&Aガイドラインには、中小M&Aの進め方を「準備」「一般的な流れ」「フロー図」の構成で記載しています。M&Aの流れを把握し、リスクを事前に想定することが必要です。
  • 財務状況の正確な開示
    売り手企業は、自社の財務状況を正確に開示する必要があります。不正確な情報があると、取引後にトラブルが発生する可能性が高くなります。
  • 契約条件の明示
    契約条件や各種リスクについても、売り手・買い手双方が理解した上で進めることが重要です。M&A仲介会社やM&Aアドバイザー、弁護士や会計士等の助けを借りながら、契約内容を詳細に確認することが推奨されます。
3. 中小企業特有の課題に対応

中小企業のM&Aには、大企業とは異なる特有の課題が存在します。例えば、オーナー経営者の退職に伴うリスクや、従業員の雇用維持などが挙げられます。中小M&Aガイドラインでは、これらの問題に対応するための具体的な対策が提案されています。

  • 従業員の雇用継続への配慮
    M&A後も従業員の雇用を守るため、買い手側が事前に従業員に対する方針を示すことが重要です。ガイドラインでは、従業員の雇用や待遇が引き続き維持されるかどうかを確認するプロセスが必要とされています。
  • 経営の安定化
    M&Aが完了した後も、売り手企業の経営が安定するよう、引き継ぎ期間中のサポート体制を構築することが推奨されます。

4. 中小M&Aガイドラインを活用するメリット

中小M&Aガイドラインを活用することによって、以下のようなメリットが得られます。

  • 安心してM&Aに取り組める
    ガイドラインを参考にすることで、M&Aの手順やリスクを事前に把握でき、より安心して取引に臨むことができます。
  • 透明性と公正性を担保できる
    透明なプロセスを維持することにより、トラブルを回避し、公正な取引を実現できます。
  • M&A成功率の向上
    ガイドラインに従って適切な手続きや調査を行うことで、M&Aの成功率が高まります。

5. まとめ

中小M&Aガイドラインは、中小企業がM&Aを成功させるための基本的な指針を提供するものです。透明性と公正性を確保することで、トラブルを未然に防ぎ、双方が納得できる取引を実現することが可能です。

中小企業にとって、M&Aは事業承継や成長戦略の有効な手段ですが、適切なプロセスを踏まなければリスクも伴います。ガイドラインを参考にしながら、ガイドラインに対応しているM&A支援機関(M&A仲介会社、金融機関、士業専門家等)と協力してM&Aを進めることが成功のカギです。

中小M&Aガイドラインページはこちら(中小企業庁のサイトです。)

 

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