近年、日本の中小企業における後継者不足が大きな問題となっていますが、この問題は愛媛県の中小企業も例外ではありません。そこで今回は、中小企業の後継者不足を最も解決することができる手段として注目されている『M&A』に焦点を当て、愛媛県内で事業承継に取り組む際のポイントを解説します。
事業承継・M&Aとは?意味と定義を解説
まず最初に事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことです。
事業承継には主に以下の3つの承継方法があります。
- 親族に承継する
- 従業員などに承継する
- M&Aで承継する
事業承継を選択する理由とは
基本的に上場会社であれば、「株主」と「経営者」が区別されていることが多いため、優秀な経営者を社内外から選定し社長に登用するだけで比較的容易に代表を交代することができます。
一方、多くの中小企業における後継者選びは容易ではありません。株式の相続や会社の有利子負債に対する社長の個人保証の存在、社員の理解や取引先との関係継続など、後継者に会社を引き継ぐために解決すべき問題が数多く存在しています。そのため「社長交代」ではなく「事業承継」と言われています。
M&Aは第三者承継と言われている。その意味や定義は
M&A(エムアンドエー)とは、『Mergers and Acquisitions』の略語で、企業の合併と買収を意味しています。しかし一般的には企業の合併や買収のことだけでなく、特定の事業を譲渡する事業譲渡などを含む広い意味で使用されています。
つまりM&Aは、会社の経営権(株式)を売りたい人と買いたい人の売買を意味しているため、親族や従業員以外の第三者へ会社を承継することになります。そのためM&Aは『第三者承継』とも言われ、昨今の日本の後継者不足を解決する最も有効な手段として政府もその取り組みを補助することに力を注ぎ始めています。
参考記事:【令和3年】事業承継引継ぎ補助金(専門家活用型)をわかりやすく解説
事業承継・事業引継ぎの傾向
近年、日本の事業承継に変化が見え始めています。中小企業庁のデータによりますと、直近10年間における法人経営者の親族内承継の割合が急減し、従業員や社外の第三者といった親族外承継が6割超に達しているとされてるのです。
出典・引用:事業承継に関する現状と課題
データによると、これまで日本の中小企業における後継者の多くが親族内承継でしたが、昨今では主要な承継先が急速に従業員やM&Aによる承継に移行していることがわかります。
加えて、60歳以上の経営者の意識も大きく変化してきているようです。
・法人経営者 3割が廃業予定
・個人事業者 7割が廃業予定
廃業を選択する主な理由には、
・当初から自分の代でやめようと思っていた 38.2%
・事業に将来性がない 27.9%
・子供に継ぐ意思がない、子供がいない、適当な後継者が見つからない 28,6%(後継者難)
といった理由が挙げられています。
このような現状から、近年の中小企業におけるM&Aが増加しているのも実情です。
M&Aにおける売り手のメリットとポイント解説
それでは次に、M&Aによって事業承継を行なった際、売り手側にはどのようなメリットがあるのか解説していきます。
事業の存続と成長(シナジー効果)
M&Aによる事業承継に取り組むことにより、事業は存続するだけでなく成長していく機会も得ます。また直近の財務状況に多少悪不安があっても、M&A後に事業の回復が見込めると想定できる際は、買収する価値があると買い手が判断するケースは多々あります。負債が多いからM&Aは不可能ではないかと決めつけるのは早計です。
またM&Aでは売り手の多くが『従業員雇用の継続』と『取引先との関係継続』という条件の承諾を買い手に求めます。そのため、従業員の雇用や取引先との関係を継続したまま会社を引き継ぐことができます。また従業員の雇用が継続されるということは、退職金や解雇予告手当てなどを支払う必要がないため、清算に比べて支出を抑えることが可能です。
さらにM&Aによる事業承継では、承継後に売り手と買い手が協働することによって生じるシナジー効果(相乗効果)を見込むこともできます。これまで会社単体で取り組んできた事業が買い手のグループに参画することで大きく成長し、従業員の待遇が向上するということもあるため、「どのような買い手に承継すれば会社が成長するか?」ということをしっかりと想定して取り組むことが大切です。
シナジー効果を考えることは、大切に育ててきた会社の将来を左右する大きなポイントです。M&Aによる事業承継に取り組む前に、会社や事業の現状、市場の動向、大切にしてきた理念や信念などを踏まえて理想の買い手像を構築していくことが求められます。
このようにM&Aは、売り手の将来と会社の将来を決定する大きな取り組みです。一人で考え込まず、M&A仲介会社といった専門家へ相談してみることをお勧めします。
売却益と連帯保証の解除
M&Aによって会社の全てもしくは一部の事業を承継することにより、売り手は対価として現金を受け取ります。(厳密には、株式を売却した際は『売り手個人』が現金を受け取ることができますが、特定の事業を売却した際は『会社』が対価を受け取ります。)
また多くの中小企業の場合、社長が連帯保証で会社の負債を背負っていることが多く、この連帯保証の存在が事業承継の妨げとなっているケースが多く見受けられます。しかし、中小企業のM&Aでは買い手に対して『連帯保証の解除』を条件として求めることが多く、個人保証を外しながら会社を承継することが可能です。
「親族や従業員に負債を背負わせたくない。」
という考えを持つ社長はたくさんいらっしゃいます。連帯保証の解除も含めて、M&A仲介会社といった専門家に一度相談することをお勧めします。
従業員の雇用を守ることができる
まず始めに、後継者がいないという理由から廃業を選択してしまうと、当然のことながら従業員は職を失います。
その点M&Aによる事業承継では、多くの売り手が『従業員の雇用継続』を条件にします。一定期間の雇用保証から始まり、待遇の維持や特定事業の継続など、譲りたくない条件をしっかりと明示し交渉に挑むことが大切なポイントです。
新しい人生がスタートする
M&Aによる事業承継が成功することにより、売り手である中小企業の社長は金銭的な不安や経営という重責から解放されることになります。
そのため精神的にも時間的にも多くの余裕が生まれ、趣味や旅行、レジャーや観光など、これまで出来なかった多くの物事に取り組むことができるようになります。(一定の引き継ぎ期間を終えた後。引き継ぎ期間や社長ご自身の待遇も条件として織り込みましょう。)
新しい第二の人生には、自由という特権が付いてきます。会社に非常勤で残ることも、気ままな生活を送ることも、新しいチャレンジをすることも自由です。ご自身のセカンドライフを意識した事業承継計画を練ることも大切なポイントの一つです。
M&Aによる事業承継は、事前準備で全てが決まる
M&Aによる事業承継を成功させるためには、事前準備が欠かせません。むしろ、事前準備で全てが決まると言っても過言ではありません。M&Aスキームの確定や企業価値の算定、希望条件の明確化、企業概要書の作成、想定Q&Aの作成、希望する買い手像とシナジー効果を考察するなど、今挙げた以外にも様々な準備を必要とします。
場合によっては中小企業M&Aにおいても、売り手側でコストをかけて事前に各専門家による簡易的な企業調査を行い、財務面や法務面、ビジネス面から売却価値の推定と課題を抽出しておくこともあります。
また売り手の『覚悟』も大切です。実際にM&Aが進み出すと、人生をかけて成長させてきた会社を手放すことが寂しくなり、途中でM&Aを断念する方もいらっしゃいます。M&Aの中断は事業承継を大きく後退することに繋がります。
このようにM&Aによる事業承継は、あらゆる準備を必要とします。しかし中には、「大丈夫です。必ずうまくいきます。」という甘い言葉でM&Aによる事業承継を持ちかけるM&Aアドバイザーが存在していることも事実です。「M&Aは必ずうまくいく」ということは絶対にあり得ません。何が起こるかわからないのがM&Aです。だからこそ、事前にあらゆる準備が必要なのです。甘い言葉をかけてくる専門家ではなく、あらゆる事態を想定した上で準備することができる専門家に相談することをお勧めします。
愛媛県内でM&Aの相談をする。各相談先の特徴を簡単にご紹介。
それでは次に、愛媛県内でM&Aによる事業承継の相談ができる会社や団体を簡単に紹介してまいります。
愛媛県事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターは、国が後継者不足問題を解決するために各都道府県に設置した相談窓口です。相談料は無料で、事業承継に関するアドバイスに加え、専門家やセンターに登録している買い手候補の紹介などを行なってくれます。
ただし事業承継・引継ぎ支援センターは事業承継の前段階におけるサポートがメインですので、基本的には民間の支援機関と売り手を繋ぎ、事業承継を進めていきます。支援機関のサポートは基本的に有料で、各機関ごとに料金体系が異なります。
愛媛県内の金融機関
近年では、地方銀行や信用金庫といった金融機関も事業承継支援に力を入れています。
金融機関のM&Aによる事業承継の特色は、金融機関が自ら買い手を探して進めるケースと、M&A仲介会社などの支援専門家を紹介して進めるケースがあります。両ケース共に有料です。
名称:伊予銀行
連絡先:iyo01658nb@iyobank.co.jp(メールは24時間受付)
名称:愛媛銀行
連絡先:089-933-1111(愛媛銀行 ソリューション営業部)
大手M&A仲介・FA専門会社
専業でM&A仲介・M&Aアドバイザリー業務を行なっている大手M&A仲介会社です。豊富な実績と買い手データを有していますが、基本的に手数料は高額で、成約時の最低報酬額は1,500万円以上は発生すると言われています。
名称:日本M&Aセンター
連絡先:0120-03-4150
名称:M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
連絡先:03-6880-3800
愛媛県で相談するなら、相談料無料・安心手数料のM&A仲介・アドバイザリー専門会社へ
それでは最後に、愛媛県内でM&Aによる事業承継の仲介及びアドバイザー業務を専門に行なっている弊社の紹介です。
株式会社アシブネ
これまで見てきた通り、M&Aによる事業承継を成功させるために最も大切なことは事前準備です。株式会社アシブネは相談料無料の上、強い営業をかけることもありません。じっくりと売り手様の状況や会社の状況をヒアリングさせて頂き、M&Aに取り組むべきか否か、また取り組む時期はいつが良いか等、フラットな目線でご回答させて頂きます。
多くの支援機関が専門家を紹介するスタイルでM&Aを進めていますが、実際のところは始めから支援専門会社に相談するのが一番早く、一番効率的です。
愛媛県松山市に本社を置く株式会社アシブネが、迅速で力強いサポートを実施いたします。
お気軽にご相談ください
※秘密厳守及び無料でご対応させていただきます。
※事務員が退席して不在だった場合は、弊社より折り返しご連絡させて頂きます。
※周囲への情報漏洩を防ぐため、念のため携帯電話でご連絡頂けますと幸いです。
株式会社アシブネ・お電話によるお問い合わせ
☎️ 0897-64-9555
受付時間/平日 10:00 〜 17:30