企業のリサイクル率とは?廃棄物の処理方法から考える資源循環

リサイクル①

企業の環境経営や資源循環への取り組みを考えるうえで、「リサイクル率」は重要な指標の一つです。

「廃棄物の○%をリサイクルしています」といった情報は、企業の環境への取り組みを分かりやすく示すことができます。

一方で、リサイクル率という一つの数字だけを見て、企業の廃棄物管理や資源循環の状況を判断することはできません。

どのような廃棄物が発生し、どのような方法で処理され、最終的にどこへ向かっているのか。

本記事では、企業のリサイクル率の考え方から、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクル、焼却、埋立まで、廃棄物の全体像を把握するためのポイントについて解説します。

 

1.企業のリサイクル率とは?

企業におけるリサイクル率とは、一般的には、発生した廃棄物のうち、再資源化などに回された割合を示す指標です。

例えば、ある企業で年間1,000トンの廃棄物が発生し、そのうち800トンが再資源化された場合、単純化するとリサイクル率は80%となります。

ただし、実際の企業における算定では、対象とする廃棄物の範囲や拠点、処理方法などによって考え方が異なる場合があります。

そのため、「リサイクル率○%」という数字を見る際には、その数字だけを見るのではなく、

  • 何を対象としているのか
  • どの期間のデータなのか
  • どの拠点を対象としているのか
  • どのような処理を「リサイクル」として扱っているのか

といった前提を確認することが重要です。

 

2.リサイクル率はどのように算定するのか?

リサイクル率を把握するためには、まず廃棄物の発生量と、その後の処理・資源化の状況を把握する必要があります。

基本的には、

廃棄物の発生量 → 処理方法 → リサイクル・資源化された量

という流れでデータを整理していきます。

しかし、企業活動から発生する廃棄物は、単純に一種類ではありません。

製造工程から発生する廃棄物のほか、包装材、金属くず、廃プラスチック、汚泥、紙類など、さまざまな種類があります。

また、工場や事業所によって発生する廃棄物の種類や処理方法も異なります。

そのため、企業全体のリサイクル率を算定するには、各拠点のデータを適切に収集し、一定のルールに基づいて集計することが必要になります。

つまり、

「リサイクル率」という同じ言葉でも、何を対象に、どのような方法で算定しているのかによって、その数字が示す内容は異なります。

という点には注意が必要です。

 

3.リサイクル率だけでは、廃棄物管理の全体像は分からない

リサイクル率は重要な指標ですが、それだけで企業の廃棄物管理の状況を把握することはできません。

例えば、リサイクル率が高かったとしても、

  • 廃棄物そのものの発生量が多い
  • 特定の工場で焼却量が多い
  • 一部の廃棄物が埋立処分されている
  • リユースできるものまで廃棄されている

といった状況が存在する可能性があります。

逆に、リサイクル率という一つの指標だけでは表れない改善が行われている場合もあります。

例えば、製造工程を見直して廃棄物そのものの発生量を削減した場合、リサイクル率が大きく変化しなくても、企業としての環境負荷や処理コストが改善されることがあります。

そのため、企業の廃棄物管理を考える際には、

「どれだけリサイクルしたか」だけではなく、「どれだけ廃棄物が発生し、どこへ向かっているのか、リサイクル以外の改善施策はあるか」を見ることが重要です。

 

4.廃棄物は「どこへ行っているのか」を見る

廃棄物の処理方法には、さまざまなものがあります。

例えば、

  • リユース
  • マテリアルリサイクル
  • ケミカルリサイクル
  • サーマルリサイクル
  • 焼却
  • 埋立

などです。

同じ「廃棄物」という言葉でも、その後の処理方法によって、資源として再び活用されるものもあれば、最終的に処分されるものもあります。

そのため、廃棄物管理では、排出量だけではなく、

「その廃棄物が最終的にどこへ向かっているのか」

を把握することが重要です。

 

5.マテリアルリサイクルとサーマルリサイクルの違い

「リサイクル」と一言で言っても、その方法には違いがあります。

マテリアルリサイクル

廃棄物を原材料や製品など、物質として再利用する方法です。

例えば、金属くずを回収して新たな金属製品の原料として利用したり、廃プラスチックを再生原料として利用したりする方法があります。

サーマルリサイクル

廃棄物の焼却などによって発生する熱エネルギーを回収し、発電や熱利用などに活用する方法です。

廃棄物を単純に処分するのではなく、そこから得られるエネルギーを利用するという考え方です。

このように、マテリアルリサイクルとサーマルリサイクルでは、資源の循環方法が異なります。

そのため、

「リサイクルされている」という情報だけでは、実際にどのような形で資源が循環しているのかまでは分かりません。

企業の環境情報を見る際には、どのような処理方法が採用されているのかまで確認することが重要です。

 

6.埋立率だけでなく、焼却率にも注目する

廃棄物の処理状況を見る際、「埋立率」は重要な指標の一つです。

埋立に回る廃棄物を減らすことは、資源循環を進めるうえで重要な取り組みです。

しかし、埋立率だけに注目することにも注意が必要です。

例えば、埋立に回る廃棄物が少なくても、その多くが焼却されている場合があります。

もちろん、焼却そのものが一律に問題というわけではありません。

廃棄物の性状や処理方法、エネルギー回収の有無などによって、その意味は異なります。

一方で、企業の資源循環を考えるのであれば、

「埋立されていない」

という情報だけでなく、

「何がリサイクルされ、何がサーマルリサイクルされ、何が単純に焼却され、何が埋立されているのか」

という廃棄物全体の行き先を見ることが重要です。

つまり、

埋立率を下げることだけを目標にするのではなく、廃棄物全体がどのようなルートで処理されているのかを把握することが重要です。

 

7.企業のリサイクル率を見るときに確認したい5つのこと

企業のリサイクル率や廃棄物に関する環境情報を見る際には、次のような点を確認すると、その数字の意味をより正確に理解できます。

① 何を対象にしているのか

製造工程から発生する廃棄物だけなのか、包装材や事業所から発生する廃棄物まで含んでいるのかなど、対象範囲を確認します。

② どのように算定しているのか

廃棄物の発生量や処理量をどのように把握し、どのような計算方法でリサイクル率を算定しているのかを確認します。

③ 「リサイクル」の定義は何か

マテリアルリサイクルだけを対象としているのか、サーマルリサイクルなども含むのかによって、数字の意味は変わります。

④ 焼却・埋立などをどのように扱っているのか

リサイクル率だけではなく、焼却率や埋立率なども合わせて確認することで、廃棄物の行き先をより立体的に把握できます。

⑤ どの工場・拠点を対象としているのか

企業全体の数字なのか、一部の工場や事業所だけを対象としているのかを確認します。

この5つを確認することで、「リサイクル率○%」という数字を、より正確に理解することができます。

 

8.全社の数字だけでは見えない「工場ごとの違い」

特に製造業では、事業所によって廃棄物の種類や処理方法が大きく異なることがあります。

例えば、ある事業所では金属くずの再資源化が進んでいる一方、別の事業所では汚泥や廃プラスチックなど、異なる種類の廃棄物が多く発生しているかもしれません。

その結果、

全社のリサイクル率は高いものの、特定の工場では焼却や埋立の割合が高い

ということも考えられます。

そのため、企業の廃棄物管理を改善するためには、全社の数字だけを見るのではなく、拠点ごとのデータを確認することが重要です。

全社の平均値からは見えなかった課題が、事業所単位で見ることで明らかになることがあります。

 

9.重要なのは「リサイクル率」ではなく、廃棄物の全体像を把握すること

ここまで見てきたように、企業の廃棄物管理を考える際には、リサイクル率だけではなく、

  • 廃棄物の発生量
  • 廃棄物の種類
  • リユース量
  • リサイクル・再資源化量
  • サーマルリサイクル量
  • 焼却量
  • 埋立量
  • 処理コスト

などを総合的に把握することが重要です。

つまり、

「リサイクル率を何%にするか」

だけを考えるのではなく、

「自社から発生した廃棄物が、どこへ行っているのか、リサイクル以外の改善施策はあるか」

を把握することが、廃棄物管理の第一歩になります。

そして、そのデータを分析することで、

  • 発生量を減らせるもの
  • リユースできるもの
  • より適切な資源化方法があるもの
  • 処理コストを削減できるもの
  • 拠点間で改善できるもの

などが見えてきます。

 

10.「数字を公表する」から「数字を説明できる」へ

企業が環境に関する情報を社外へ発信する機会は増えています。

その中で重要になるのは、単に数字を公表することではありません。

例えば「リサイクル率○%」という数字について、

  • 何を対象にした数字なのか
  • どの期間のデータなのか
  • どの拠点を対象としているのか
  • どのように算定したのか
  • どのような処理方法が含まれているのか

を説明できることが重要です。

環境への取り組みを「言える」状態から、

「その取り組みを、データによって説明できる」状態へ。

これからの環境経営では、この視点がより重要になっていくと考えられます。

参考:環境表示の信頼性や、企業が発信する環境情報の根拠については、「グリーンウォッシュとは?日本企業が注意したい環境表示と第三者認証の考え方」でも詳しく解説しています。

 

11.第三者による検証という考え方

環境に関する取り組みや環境情報の信頼性を高める方法の一つとして、第三者による検証・認証を活用する方法があります。

企業自身がデータを整理・管理するだけでなく、必要に応じて第三者がその取り組みや主張を確認できる状態にしておくことで、環境情報の透明性や説明力を高めることにつながります。

廃棄物の削減や資源循環について、一定の基準に基づいて第三者による評価・検証を受ける方法もあります。

環境に関する主張を「伝える」だけではなく、「根拠を持って説明できる」状態をつくることが重要です。

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参考記事:UL2799とは?UL2799についてわかりやすく解説

 

12.リサイクル率から、資源循環へ

リサイクル率を高めることは、企業の資源循環を進めるうえで重要な取り組みです。

しかし、リサイクル率を高めること自体を最終的な目的にする必要はありません。

まず廃棄物の発生量や種類、処理方法を把握する。

そのうえで、

発生を減らす
↓
再使用する
↓
再資源化する
↓
適切な方法で処理する

という取り組みを進めていくことが重要です。

廃棄物を「処理するもの」として捉えるだけではなく、「循環させることができる資源」として捉え直す。

それが、企業における資源循環の取り組みにつながります。

 

13.アシブネが支援できること

株式会社アシブネでは、企業の廃棄物管理・資源循環に関する支援を行っています。

例えば、

  • 廃棄物の現状把握
  • 廃棄物データの整理・可視化
  • 拠点別の廃棄物状況の分析
  • 処理方法・処理コストの分析
  • リユース・リサイクル・資源化の可能性検討
  • 廃棄物管理体制の整備
  • 資源循環に向けた改善支援

など、企業ごとの状況に応じた支援を行っています。

「リサイクル率を高めたい」という課題だけでなく、

「拠点ごとの廃棄物管理状況を把握したい」

「廃棄物処理にかかるコストを見直したい」

「資源循環の取り組みを具体化したい」

といったご相談にも対応しています。

環境経営を進めるためには、まず現状を知ることが重要です。

廃棄物の「量」だけではなく、「行き先」まで把握する。

そのデータをもとに、廃棄物管理から資源循環へ。

アシブネは、企業の環境経営の進化を支援します。

 

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